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武蔵野

東京の桜が今年の花びらを

落としきってしまうという頃

日が昇る間に

独歩の『武蔵野』を読んだ


人知れず涙がこぼれたのは

感傷的になっていたからだろう

遠く遠くを

思ったときに


日が傾くあいだ

玉川上水の桜橋に足を運ぶ

相変わらず文学碑には

掛け茶屋の婆さんとのひと齣


散ってしまったあとの

桜の青葉に散らばる

日の光と水の音

ふと感じたくなったから


独歩橋の上で

水面を眺めていると

学校帰りの

小学生の群れ


何をしているんですか?

何をしてるって訳でもないよ

同じように欄干に両肘のせて

不思議そうに眺める


120年前、掛け茶屋の婆さんに

桜の名所に、夏、散歩に来たのを

独歩が弁解した時も

同じような心もちだったのだろう


思わずほほ笑み

近くの森へ

落葉林の上

一陣の風が渡る


四顧し

傾聴し

睇視し

黙想す


空車の轍が虚空に響き渡る

代わりに

貨物自動車のエンジン音が

住宅街の軒を廻る
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プロフィール

旋歩

Author:旋歩
こんにちは、あるいは、こんばんは。
旋歩(せんぽ)といいます。
明治・大正文学を中心に
貪るように本を読んでいます。
読めば読むほど自分から
ことばが奪われてゆくのですが
仕方のないことなのでしょう。
それでも残ったものが、ここにあります。

画と詩の狂想曲

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